懇意にしている取引先から支援の要請を受けたら、どのように応えるべきでしょうか。会社が取り得る選択肢について考えてみます。

支払い条件の一時的な変更

支払い条件を従来よりも優遇することを真っ先に検討しましょう。支払日を早めてやる、半金半手だったのを全額現金にする、納品と同時に直ちに支払う、などの選択肢が考えられます。支払い条件の変更は、発注側の負担も比較的小さいもの。かつ、通常の商取引の範囲内での優遇なので、経営判断もし易いことでしょう。

気を付けなければいけないのが、支払い条件の変更はあくまで緊急的な措置であるということ。これを機にせっかく定めていた支払い条件が、取引先毎にバラバラになるような事態は避けなければいけません。取締役会などで意志決定し、記録を残しておくことも重要。特定の取引先へ理由なく便宜を図ったなどと後ろ指を指されないために、法人としての意志決定プロセスの過程は明確にしておくべきです。

在庫の早期引き取り

生産を委託しているのであれば、預けている在庫を早めに引き取ってあげることも考えられます。通常よりも早いペースで受領してやれば、それだけ早く支払いが発生することになります。もちろん、この効果は一時的なもの。瞬間的に資金繰りに窮している会社などに有効な対応です。

以前に私が経営していた家業では、業績が窮境に陥った取引先(産地商社)が大量に在庫していた商品(当社が生産委託していたもの)をB品も含めて即時に引き取った経験があります。在庫はあくまで取引先の判断で積み増していたもの。売れ筋を切らさないために、リスクを取って用意してくれていたのです。在庫を一気に換金することができたので、一時的にせよ資金繰りに余裕が生まれたのは言うまでもありません。

約束手形のイラスト
業界によってはまだ手形取引が多いようですね

通常よりも早いサイクルでの商品の発注

本来であればまだ発注するタイミングではなかったとしても、先行して発注してやることも支援になります。当然、適正水準よりも多めの在庫を抱えることになる自社がリスクを負うので、売れ筋商品などに限られる対応です。

仕入れたからには販売する必要が発生します。自社の営業サイドと呼吸を合わせて取り組み必要があります。売れ筋商品であったとしても適正量以上の在庫を抱え込むことになりますので、自社のブランド価値が低下しないように配慮しつつ販売していかなければなりません。

通常よりも早いサイクルでの商品の発注

取引先が窮境に陥ってしまう理由はさまざま。事業以外の理由で苦しい状況に陥ったのであれば、配慮は必要ないかもしれません。しかし、通常の事業を営んでいるにも関わらず、資金繰り等に支障を来してしまったのであれば見殺しにすることなく可能な範囲で支援をすべきでしょう。

もちろん大前提は支援の要請があることです。苦しい状況を率直に開示してもらい、経営者同士の対話がなされて初めて支援の可否を検討すべきです。

商売は回り回ってすべてが自分に返ってくるものです。情けは人のためならず、とはよく言ったもので窮境に陥った取引先へ支援を検討する際にも思い浮かべたい言葉です。


ポッドキャスト「茶わん屋の十四代目 商いラジオ」を毎週金曜日10:00に配信しています